リサイクルの本質はコストに尽きる 資源循環と法規制のバランスについて

2016/01/21


 先般、東大本郷キャンパスで行われたエコマテリアルフォーラム(1/18)では講演者の方々が100名以上の参加者の質疑応答にこたえる形でディスカッションを行ったが、そこではリサイクルの本質的な議論が展開された。

 パネルディスカッションのパネラーが質問に答える格好となったがパネラーは、慶応大学の細田衛士氏、NIMS原田幸明氏、アジア経済研究所の小島道一氏、国立環境研究所の寺園淳氏、同じく国立環境研究所の中島謙一氏、早稲田大学の所千晴氏、司会進行は東京大学の醍醐市朗氏。


法規制と資源循環のバランス
写真 参加者からの質問では、資源循環と法規制とのバランスをどう考えているのかという声が上がった。
 質問者は、
「例えば鉛バッテリーはその内EUでは使えなくなる可能性がある。鉛が使えなければその行き先は、規制が無い国に「流す」のか。その辺をどう考えているのか」という質問が上がった。

 これに対し有識者(講演者)は
「鉛バッテリーはまだ底堅い需要があるから当面心配ないと想定しているが、過去にはCRT(ブラウン管ガラス)の問題があった。ブラウン管も日本の需要を失ってから、海外にまだ需要があるから海外に出した。だが過去にそのような事実があるからこそ、受け皿を作る必要がある。今後はリチウムイオン電池に対しての受け皿を考える必要がある」と答えた。

 また別の有識者は
「カドミニウムにしても規制がかかり、使い道が無くなり国内で余っている。健全な資源循環を謳うなら「使ってはいけない」ではなく「管理してどううまく使うか」を考えなくてはいけないという意識を持つ必要がある」と話した。

 リサイクルの一番の問題はコスト。コストは誰が負担すべきか。

 またその後に続いた出た質問では、
「資源循環、リサイクルすることや有害物質を除く際のコストは誰が負担すべきか。コストの問題はどう考えているか。日本では家電では消費者負担、紙は自治体で負担しているが国際的に行うためには財源などはどう考えているか」という質問が飛び出した。

 これに対し答えたのは慶応大学の細田先生は、これは非常に重要な問題とし、
「これに関しては、非常に難しい問題で、国境を越えてしまったものに関しては、もう繋がりさえない。ただ誰かが負担しないといけないのは事実」として、ひとつの意見として挙げたのは、

「例えば、有害性の強い物に関しては、海外に出す前に有害物質を取り出した状態で、外に出すという枠組みが必要」と話した。ただ、同時に
「確かに誰かが負担しないといけない。日本の場合負担があるからできている」と話した。


 また質問者から続いて、
「貧しい国に関しては、どう考えているか。金がある国では当然できるが、金が無い国ではコストはかけられない。国際基金でもない限りは難しい」という質問に対して

「実際、基金を作るのは難しいと思う」という答えが返ってきた。その理由として、各国を巻き込んで、その上で各国による制度作りが基本になるから、という。

 また、パネラーからは、ここでまた、EUのように「循環型社会」に付加価値をつけることが重要になってくるのではと意見を出した。

 現に、EUではバージン品プラスチックの方よりリサイクルプラスチックの方が価値ある物とされているという。国際的な循環型社会ではこの「価値」が重要であると話した。
 だが総じて、このコストの問題に関しては、未だ解決策が無いようにも思えた。

 このように、リサイクルにはコストがかかるという事実は見落としていては適正な国際資源循環も絵にかいた餅。
 パネラーのひとりは、
「実際、東南アジアのあるリサイクラーも金があれば健全なリサイクルをできます。だけど金が無いからできません」とはっきり言われたという。コストを確保できるという面で循環型社会ができている日本だが、今後はコストが無い国の目線でリサイクルを考える事が必要になってくるのではないだろうか。

(IRUNIVERSE Hatayama)

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