スクラップ業界に新風吹き込めるか メタリー天羽社長と一問一答

2015/06/09

 6月7日、都内麻布十番にて、金属スクラップのネット売買を始めるという株式会社メタリーの天羽健介代表(32歳)に話を聞いた。閉鎖的なスクラップ業界に新風を吹き込みたいという代表の発想は閉塞感漂う国内のスクラップ業界にとっては新鮮であり刺激的でもある。しかし一方で昔ながらの商慣習が固定化されている業界で、また現物商売のスクラップで通販的なアイデアが本当に受けいれられるのかどうかという疑問も多々聞かれる。

 IRU棚町(以下、棚)「まずシンプルな質問ですが、天羽社長はなぜスクラップという商材をインターネットで取引することを考えられたのでしょうか?」

写真 メタリー天羽代表(以下、天)「私が初めに入社したのは鉄鋼の商社でした。圧倒的に成長したいと思って飛び込んだのですが、振り返ってみて完全に生き急いでいたなと思っています(笑)。

 入社間もない若者が諸先輩方とくらべて知識・スキルの面でも人脈・人間関係や人としての信頼もない中で、成果などあげられるわけもなくただただ無力感を感じてました。何よりも心残りなのはかわいがってくれる目の前の取引先の社長に十分に貢献できなかったこと。そのまま粘り強く頑張っていればまた違ったのかもしれませんが、当時の私はステージを金属からITに変えることを選びました。

 その後経験を重ねていくうちに今自分だからできることは何なのかを考えていく中で、ちゃんと業界や目の前のお客様に貢献できなかった心残りある金属業界に何か恩返しがしたいと考えていた。そんな中、鉄鋼商社時代の同期と議論を重ねていくうちに、金属業界とIT業界の経験を活かしてスクラップのBtoB ECビジネスを通じて業務の効率化や売買のサポートを考えるに至ったのです。」

 「これまでスクラップといえば現場、現物、現実という最もインターネットビジネスから離れている商材です。またかつてコンサルタント会社が御社と同じようなことを手掛け、結果陽の目を見ずに終わったこともありますが」

 「はい。2000〜2002年頃の鉄・非鉄金属のインターネットビジネスはメーカーと商社間の一部のEDIを除いて市場にはほとんど受け入れられることはありませんでした。しかし御存知の通り、この10年で市場環境、事業環境は大きく変わってきています。インターネットが急速に発展していき、農業や漁業といった一次産業、建築業や、製造業などの二次産業でもインターネットを使ったビジネスがここ数年で拡大している。大局観で見た時はこの商流、潮流の変化は遅かれ早かれスクラップ業界においても受け入れられるとみています。
 またこの10年でスクラップの発生量も減り、また今後も減少していくことが予想されるなかで、はたして今まで通りの固定経費をかけて業を維持していくことができるのかという問題も業界全体の大きな課題であると考えています。メタリーがスクラップビジネスにかかわる全ての方々にとって有益となる場を提供していければ幸いです」

 「なるほどです。実際、メタリーの提供するサービスとはどのようなイメージになるのでしょうか?」
 「売り手、買い手がメタリーのシステムに登録し、インターネットサイト上で商談を進めていき、互いの条件が折り合えば商談成立となる。検索しやすいように一定の共通項目は必要だが、一物一価ではないのである程度はコミュニケーションが必要だと考えておいります。社名にもあるよう、metallyのtallyの意味でもあるのですが、メタリーが商売の割符の役割を担えればという思いです」

写真 「具体的な商流は?」
 「夏には始動していく予定です。メタリーが軌道に乗るまでは完全無料で、その後は買い手から手数料をいただくというシステムにしていくつもりです」

 「金属スクラップ業界も幅広いですが、どのあたりをターゲットにされていますか?」
 「ターゲットを絞るような事は考えていないですね。実際にオープンした後に自然と最適な利用方法が確立されていくと捉えております。我々はカスタマーの要望に応じて柔軟にサイトを運営していく所存です」
 「ずばり聞きますが、勝算ありますか?」
 「それはもう未知数ですね。しかし今年の3月から登録を開始してそれなりに反応をいただいていることからすると期待感も大きいのではないかと感じております。私の着想は売り手と買い手の情報格差をなくし、買い手の効率的な新規開拓と、高く販売することによる利益率の改善を最大化することです。
 そのプロセスの中で不要な流通コストを削減し業界全体の競争力向上に貢献したいという考えです。また1社のお客様がどれだけ使い続けてくれるかを最重要視しております。参画社数や取扱高はその次の課題と考えております」
 「実はそういった客観的な流通価格が出ていないところがスクラップ業界の醍醐味といいますか、利益の源泉である部分あり、そこに手を入れてもらっては困るという業界構造も一方では存在します」

写真 「そういう部分も確かにあると思います。ただ、昨今の潮流にもあるようインターネット技術の進化により、既に他の業界ではどんどん流通構造が変化しはじめています。歴史を見る限り、時代の変化に対応できないとどうなるかは明白ではないでしょうか。いずれその波がくるのならユーザーにとってインターネットを味方につけていただき次の世代にむけた打ち手を早期にできるようメタリーがサポートしたいと考えております。賛否両論は覚悟の上です。あとで振り返った時にしかわかりませんが、流れを変えた商品・サービスは必ずはじめに批判という壁がありそれを乗り越えたストーリーがある。今はとにかく目の前のお客様に向き合っていきたい。既にメタリーのサイトをみて応援の言葉も数多く頂いており、たいへん励まされております」。

 天羽社長との対談を尽きなかったが、要は旧弊な業界体質、IT化の遅れている業界に流通改革を起こしたいという閉鎖的な業界に対しての黒船的なメタリーのアイデアが市場に受け入れられるかどうかは今後のメタリーの作る場がどこまで市場に、業界に認知され、またメタリーシステムを取引の形態として使い続けてもらうかにある。

 冒頭にも述べたが、弱冠32歳という若き天羽代表の問いかけは今の閉塞感漂う国内スクラップリサイクル業界には新鮮な言葉として受け入れられつつある。もちろん賛否両論あるが、ようやく若手も出始めた業界だからこそ頭ごなしに否定するだけでなく、ちょっと話を聞いてみたいという方々が増えていることも事実。メタリーは今年夏ごろのオープンに向けて事前会員登録(無料)を行っている(https://metally.jp/)。興味があるかたは登録してみてはいかがだろうか。またメタリー天羽代表は7月9日に都内の学士会館で行われるIRRSG講演会(http://iruniv.net/circle.html)にも登場する予定である。

(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)

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