東大岡部教授講演 チタンの素晴らしさを一般社会に知らせるために

2015/05/28

 東京大学生産技術研究所サステイナブル材料国際研究センター長の岡部徹教授が大のチタン好きであることはチタン業界内ではつとに知られていることだが、27日のチタン協会の記念講演会でも岡部教授はチタン愛いついて語り、またチタンを一般社会に普及させるべくチタン外交を展開している旨も語られた。

 岡部教授は25年以上チタンおよびレアメタルをかけている稀有な学者先生であり、製錬コストの高さによってレアメタルとなっているチタンを画期的な精練プロセスによってアルミ並みのコモンメタルとし、チタン材料を一般的に普及させたいと発信し続けている。

写真 チタン精練は現在も伝統的なクロール法を用いており、現時点ではこのクロール法を上回る合理的な技術が出てきていないことも現実。しかし岡部教授は数々の実験を経て、カルシウムなどを用いた低コスト還元プロセス(同時に環境調和型であることも肝要)の実現に向けて研鑽を続けており、超高速かつ連続的にチタンを製造する新技術の開発は不可欠、だと再三述べられた。

 この点については実は実用化レベルでの低コストのプロセスは出来ているのだが、チタンという高級品の価値を維持していくため、ある意味では当のチタンメーカーが低コスト生産プロセスについて積極的ではない、との話も聞く。

 岡部教授はかねてから言われているように当日も「金閣寺と銀閣寺の間にチタン閣寺を建立したい」と願望を語られたが、実は現在、浅草寺や北野天満宮の屋根にはチタンが使われているため、案外これはそう遠くない時期に具現化するのではないかと思われる。

 金属チタン製品を作っていく際には多くのチタンスクラップが排出されるが、岡部教授はこのチタンリサイクルについても研究を重ねており、なかでも低品位のチタンスクラップを活用していくために溶融塩を利用したリサイクルプロセスについて解説された。

 講演中でも岡部教授が最も力を入れていたチタンの一般社会へのアピールはチタン業界にとっても力強い援軍となろう。この講演会が終わったあとにはカタールに飛んでチタン外交を展開すると話されていたが、最近はチタン製のスプーンを持参してチタン材料の素晴らしさを説いているとのこと。


写真 講演会後の交流会ではチタン協会の新会長となった東邦チタニウムの加賀美社長が
「岡部教授のお話しは大変に力強いエールをいただいたが、足下のチタン需要は本格的な回復にはまだ遠いが、薄日はさしてはいる。航空機業界の在庫調整が15年度内には終了するだろう。チタン市場の裾野拡大を図っているチタン協会にとって今は重要な局面にあるが、チタンはポテンシャルの高い金属であるため最終需要はいずれ伸びていく。日本からチタン性能の素晴らしさを発信していきたい」との要旨を述べられた。

(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)

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